2015年1月から2020年7月までの当院に尿道炎で受診した患者さんの検査治療の結果を分析します。
分析対象となった人数は746人。のべ検査数は811検査。
検査は
クラミジア、淋菌、ウレアプラズマ、マイコプラズマの4種類を検査室に出して分析した人641人
クラミジア、淋菌、2種類のみを検査室で分析した人175人
に分けられた。
4種類の病原体を調べた結果では
4種類とも検査で陰性は304
クラミジアのみは 125
淋菌は 87
ウレアプラズマ 53
マイコプラズマ 11
2種類の菌に感染しているケースが54
3種類の菌に感染しているケースが7
4種類とも感染していた人は0だった。
クラミジアの感染が多い。ウレアプラズマも予想外に多かった。
菌総検出数で検討すると
クラミジア、淋菌、ウレアプラズマ、マイコプラズマの順となっている。
やはりクラミジアが一番起因菌としておおい。ウレアプラズマも侮れない。
また、薬剤耐性菌についても分析した。
クラミジアを検出し、初回の薬剤(ほとんどがジスロマックSR)で治癒しなかったものを耐性菌とした。
再診にこなかったため、治癒か菌存続か不明の人はずして計算しているので正確であるとおもう。。
|
数 |
初回薬で治癒 |
初回薬で治癒せず |
耐性率 |
クラミジア |
118 |
76 |
41 |
35% |
淋菌 |
60 |
56 |
14 |
23% |
ウレアプラズマ |
44 |
39 |
5 |
11% |
マイコプラズマ |
11 |
3 |
8 |
73% |
クラミジアについては、性感染症学会では、ジスロマックを推奨しているが、耐性率35%もあり、ジスロマックで治癒したかの追跡が必ず必要。
淋菌にはジスロマックSRは必ずしも推奨していないが、クラミジアより有効性が高い。
淋菌にはロセフィンとトロビシンの注射が推奨されているが、点滴の副作用がやはり危険なので、淋菌か不明の場合も、ジスロマックSRがファーストチョイスでは安全なのではないかと思った。
また、数は少ないがマイコプラズマの薬剤の無効例が顕著。2番目の投薬として、ミノサイクリンを7日投薬し6人中6人が治癒したので、マイコプラズマにはわかったら早い段階からミノサイクリンを考慮した方がよい。
クラミジア、淋菌、ウレアプラズマの初回投薬無効例も追跡できた48人についてはもミノサイクリンですべて菌の消失を確認できている。
正しく検査し、必要に応じ2番目の処方で治癒にもっていけると考えられる。治癒確認を省いてはいけない。
当院の処方では、尿道炎にはクラビットは使用していない。
内科もふくめ非常に多くクラビットが、それも長期間処方されるケースが多い。膀胱炎で特に顕著だが耐性菌がしばしばみられる。そのため、尿道炎に対しても、なるべくクラビットを使用せずジスロマックかミノサイクリン、ロセフィン、トロビシンで対応している。
クラビットの有効性、治癒率、耐性率も調べてみたいところである。